電子工作キット

エレキット デジタルアラーム時計を作ろう!

今回ご紹介する電子工作キットは、エレキットの「デジタルアラーム時計」というはんだ付けのキットです。エレキットは、株式会社イーケイジャパンの工作キットブランドで、品質と作りやすさで定評があります。
本キットは初級~中級の時計キットで、ACアダプターも付属しており、作ったあとの実用性も高いです。
また、「はんだ付けトラの巻」と「はんだ付け練習基板」が付いており、はんだ付けが初めての方でも心配のないキットです。
本記事では作り方を徹底解説していますので、ぜひチャレンジしてみて下さい。
なお、完成後のディスプレイのアイデアも別記事にて紹介予定です。

組み立ての難しさ はんだ付け初めてでもOK
良いところ 丁寧な説明書と良質な部品ではんだ付け初心者にも優しい
気になるところ 価格がやや高い(実売2400円程度)
注意点 ブザーなどやや大きい部品は、はんだ付けにコツが必要

このキットについて

機能としては、正時にブザーで知らせる時報機能(20時〜翌朝8時までは鳴らない)、アラーム機能(2つセット可)がついています。時刻は24時間表示の固定です。
本記事では実際に写真と共に製作手順を解説していきますが、基本的なはんだ付けのしかたについては、こちらの記事、はんだ付けの修正については、こちらの記事、道具についてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。
本キットの他に必要なものは「はんだ」です。
はんだは、太さ0.8mmのヤニ入りのものがオススメです。

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製作の流れ

電子工作キットの一般的な製作の流れとしては、

① 部品を確認する(種類・個数)
② 背の低い部品からハンダ付けする
③ 部品が全部付いたか確認する
④ 動作を確認する

という感じで、本キットも同じ流れで作ります。以降、順番に解説していきます。

部品の確認

このキットには写真のような部品が入っています。部品リスト通りの部品が揃っているか、破損していないかを確認しましょう。
そして、完成写真や完成図を参考に、各部品が基板上にどう配置されるのかをイメージしておくと作業がスムーズに進むでしょう。

ダイオードを確認する

「ダイオード」とは電気の流れを一方向のみに制限する部品です。
写真のような部品が1個です。

抵抗を確認する

「抵抗」とは、その名の通り電気の流れを制限する部品です。
この部品は全部で2個あり、同じ抵抗値なので種類としては1種類です。
抵抗値の見分け方ですが、見た目で見分ける場合、色の付いた5本の帯が印刷されていますので、ルーペを使ってこれを読み取ります。
順番に、茶、黒、黒、赤、茶 となっているか確認して下さい。
テスターをお持ちの場合は、抵抗値を測って判別することもできます。

集合抵抗を確認する

「集合抵抗」は、同じ抵抗をいくつか集めて一体化した部品です。
写真のような足の多い部品です。「A102J」と表示があるはずです。

発振子を確認する

「発振子」とは、時計の進む周期の信号を作り出す部品です。
写真のような部品が1個です。

セラミックコンデンサを確認する

「セラミックコンデンサ」は、このキットでは発振子が信号を作り出す手助けをしている部品です。30pF が2個、0.1μF が1個あります。(pF/μFはコンデンサの容量の単位で、pFはピコファラッド、μFはマイクロファラッドと読みます)
印刷されている数字を読んで判断します。小さい方には「30」と書かれており30pFです。
大きい方は「104」と書かれており0.1μFです。

電解コンデンサを確認する

「電解コンデンサ」は電気を蓄える働きをする部品です。
10μFが1個あります。部品の本体に「10μF」と印刷されています。

トランジスタを確認する

「トランジスタ」は、このキットではブザーを鳴らすのを手助けしている部品です。
品番が本体に印刷されているので、これを読みます。
「S8550」と書かれているものが1個あるはずです。

ICを確認する

「IC」は集積回路です。このキットの頭脳となる部品で、各部品に司令を出しています。
「89C2051」と書かれているものが1個あるはずです。

ICソケットを確認する

ICを基板に直接はんだ付けするのではなく、ICソケットに挿して使うと便利なことがあります。まず、ICがはんだ付けの熱で壊れることを防止できます。また、ICが壊れた場合に簡単に交換できます。

プッシュスイッチ・スイッチキャップを確認する

プッシュスイッチは押した時に電気を通す部品です。2個入っています。
スイッチキャップも2個あります。

ブザーを確認する

時報の音を出す部品です。1個あります。

DCジャックを確認する

ACアダプタからの電気を受ける部品です。1個あります。

時計表示用LEDを確認する

多くのLEDを集めて1個にした部品です。7つのセグメントのLEDでひとつの数字を表現することから「7セグLED」とも呼ばれます。

基板を確認する

「基板」は板上にパターンという銅箔で部品同士を電気的に繋いで回路を作ったものです。部品をはんだ付けするドーナツ形の部分を「ランド」と言います。割れやパターンの傷が無いか確認しましょう。

USBアダプター・ケーブル・ネジ類を確認する

ネジとナットは使用するのは2個ずつですが、予備も入っています。
私の場合は4個ずつ入っていました。

作っていこう!

部品を取り付ける順番と注意点

部品の確認がOKなら、さっそく作っていきましょう。
本キットでは部品を付ける順番が書かれていますので、その通りに取り付けましょう。
どんなキットでも、基本的には背の低い部品、小さい部品から付ける順番になっています。
その方が部品の足(銅線の部分)を基板に挿したり、はんだ付けがしやすいからです。

注意する点は、部品の取り付ける向きです。部品には、取り付け向きの決まっている部品と決まってない部品があります。取り付け向きの決まっている部品は、説明書にそう書かれています。大雑把に言って、決まっていない部品は抵抗と一部のコンデンサで、その他は向きが決まっていると思って下さい。
また、部品は、基板の銅箔のある面と反対側の面(一般的には部品面といいます)に取り付けます。

ダイオードを付ける

ダイオードは取り付け向き(プラス/マイナスの極性)の指定があります。
線が入っている方がカソード(K)ですので、基板のKマークに合わせて差し込みます。
足(銅線の部分)を根本で曲げ、D1と書かれた所の穴に、できるだけ基板に近づくように差し込みます。

そして、ひっくり返して反対面のドーナツ形の銅箔部分(ランド)と足をはんだ付けするのですが、単に部品を挿しただけでは部品が落ちたり、こてを当てた時に足が動いてうまくはんだ付けできないので、足を曲げて動かないようにします。マスキングテープで固定してもOKです。あまりキツく曲げると、もし部品を外す時に引っ掛かって外しにくくなります。

そして、基板もクリップ等で挟むかテープで動かないよう固定しましょう。
これが結構重要で、基板が動かなることで、はんだ付けが格段にしやすくなります。
あと、はんだごてや加熱された部品は200℃以上にもなりますので、木やシリコンマットなどの熱に強い板の上で作業するようにして下さい。
こんな感じではんだ付けします。

写真のように、はんだが富士山の形になって、ツヤがあればちゃんとはんだ付けできています。多少膨らんでいてもOKです。その後、ニッパーで足を切ります。

ひとつの部品のはんだが終わって、次の部品をはんだする直前に、こて先に付いた汚れたはんだをスポンジでぬぐってきれいにしましょう。
何度もぬぐうとこて先の温度が下がるのでササッとでOKです。

抵抗を付ける

抵抗は取り付け向きは決まっていません
R1から順番に取り付けます。ダイオードと同様に足(銅線の部分)を根本で曲げます。
そして基板のR1と書かれた所の穴に、できるだけ基板に近づくように差し込みます。

はんだ付けして、このようになればOKです。

残りの1個もはんだ付けして下さい。

発振子を付ける

取り付け向きは決まっていません。基板のXT1と書かれた所の穴に差し込んで、はんだ付けします。足が短いのでテープで固定する方が良いでしょう。

セラミックコンデンサを付ける

取り付け向きは決まっていません。基板のC2、C3と書かれた所の穴に30の方を差し込んで、はんだ付けします。C4と書かれた所の穴に104を差し込んで、はんだ付けします。

はんだ付け後の状態です。

ICソケットを付ける

取り付け向きの指定があります。凹みのある方を基板の図の凹みと一致させて差し込みます。

まず、端の2箇所(写真では左上と右下)をはんだ付けします。次に裏返して、部品が基板から浮いていない事を確認してから、全部の足をはんだ付けします。

はんだ付け後の状態です。足は切る必要はありません。

集合抵抗を付ける

取り付け向きの指定があります。品番表示のある面をICソケット側にして差し込みます。

はんだ付け後の状態です。足は切る必要はありません。

プッシュスイッチを付ける

写真の向きに取り付けます。左右の向きは決まっていません
基板にピッタリ付くまで差し込んで、はんだ付けして下さい。

はんだ付け後の状態です。足は切る必要はありません。

時計表示用LEDを付ける

取り付け向きの指定があります。写真のように、ドットの位置を合わせましょう。
また、部品がやや大きいのではんだ付けに熱量が要ります。いつもより長めにこて先を当てましょう。

はんだ付け後の状態です。足を切りましょう。

トランジスタを付ける

取り付け向きの指定があります。写真のように、基板のマークと形を合わせましょう。

差し込む量に注意します。基板とピッタリ着くまで差し込まず、3~5mm浮かします。
時計表示用LEDと同じぐらいの高さになるぐらいが良いでしょう。

ブザーを付ける

取り付け向きの指定があります。写真のように、部品と基板の「+」マークを合わせましょう。部品がやや大きいのではんだ付けに熱量が要ります。いつもより長めにこて先を当てましょう。

電解コンデンサを付ける

電解コンデンサは取り付け向き(プラス/マイナスの極性)の指定があります。コンデンサの足の長い方が「+」なので、基板の「+」のマークと合わせて取り付けて下さい。ちなみに、コンデンサの白い帯がある方はマイナス(ー)です。

DCジャックを付ける

部品が大きいのではんだ付けに熱量が要ります。いつもより長めにこて先を当てましょう。

キャップをスイッチに付ける

向きはありません。押し込んではめるだけです。

ICをソケットに付ける

取り付け向きの指定があります。凹みのある方をソケットの凹みと一致させて差し込みます。足が広がっていて差し込めない場合、足を少し内側に曲げて直角に近づけてから差し込みます。

足となるネジを付ける

ネジを基板の穴に通し、ラジオペンチ等でナットを締め付ければ完成です!
でも、取り付けは動作を確認してからの方が良いでしょう。

部品が余っていないか確認する

部品を全部取り付けたら、基板上に部品の無い箇所が無いか、余った部品が無いか確認します。(キットによっては余分の部品を入れてある場合もあります)
基板上に部品が全部ついていれば完成と言えます。

動作の確認と修正

ACアダプタを接続してみましょう。LEDに「12:59」と表示されれば、ひとまず成功です。続けて動作確認して下さい。
しない場合はアダプタを外し、説明書に従って原因をしらべましょう。
まず部品の取り付け位置や向きが間違っていないか確認します。それらが問題ない場合は、すべてのはんだ部分にもう一度はんだごてを数秒間当ててみましょう。はんだがうまく馴染んでない場合があるからです。
はんだのツヤがなく、ザラザラ、トゲトゲしている場合は、加熱のし過ぎではんだが劣化した状態です。この場合、はんだ吸い取り機や吸い取り線で一度はんだを除去し、再度はんだ付けしましょう。
修正後、再度動作を確認して、それでも動かない場合は、はんだ時の加熱のしすぎによって部品や銅箔が傷んでしまった可能性があります。
こうなると、かなり電気の知識が無いと解決は難しいので、詳しい方に見てもらうか、新しく買い直し再チャレンジするか、メーカーに修理を依頼して下さい。

ディスプレイしよう

そのままでも良いのですが、ケースに入れる等するとよりオシャレになります。別記事でディスプレイのアイデアを紹介していますので参考にしてください。