電子工作キット

LED点滅キット【点発珍GT】をつくろう!

今回は、作りやすさと品質で定評のある「ワンダーキットシリーズ」の電子工作キット「点発珍GT」を作ります。
このキットは、踏切の警報灯のように2つのLEDが交互に点いたり消えたりするものです。LEDは超高輝度タイプなので抜群に明るく光ります。色のバリエーションは赤、青、白があります。今回は赤色(LED-55GTR)を作ります。
部品点数が少なく、はんだ付けの解説書も付いているので、はんだ付けが初めての方でも心配のないキットです。
この記事では作り方を詳しく解説していますので、ぜひチャレンジしてみて下さい。

組み立ての難しさ  はんだ付け初めての人もOK
良いところ 安くて組み立て簡単。
残念なところ 電源電圧が6~9Vとちょっと高い。
注意点 特になし

キット紹介と準備物

このキットは、共立エレショップアマゾン等で700~800円程度で購入できます。
動作としては、トランジスタ2つのフリップフロップ回路で、2つのLEDが約1秒ごとに交互に点いたり消えたりするものです。模型に組み込んだり、簡易的な防犯装置としても使えます。
電源電圧は6~9Vで、1.5V乾電池なら4~6本、又は006P型角型乾電池(9V)1本で動作します。キットには006P型角型乾電池用のスナップ端子が付いてます。1.5V乾電池を使う場合は4~6本用の電池ボックスを用意して下さい。

本記事では写真と共に製作手順を解説していきますが、基本的なはんだ付けのしかたについては、こちらの記事、はんだ付けの修正については、こちらの記事、道具についてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。
本キットの他に必要なものは「はんだ」です。
はんだは、太さ0.8mmのヤニ入りのものがオススメです。

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使用するはんだごては、このキットには特別熱量を必要とする部品は無いので、一般的な電子部品用のもの(ニクロムヒーターで20~30W、セラミックヒーターで15~20W)でOKです。
ちなみに、この記事で使っている、私の愛用はんだごてはコレです。

こて先は下のものに交換しています。

白光(HAKKO) こて先 3C型 FX-600/FX-8801/FX-8803用 T18-C3

製作の流れ

電子工作キットの一般的な製作の流れとしては、

① 部品を確認する(種類・個数)
② 背の低い部品からハンダ付けする
③ 部品が全部付いたか確認する
④ 動作を確認する

という感じで、本キットも同じ流れで作ります。以降、順番に解説していきます。

部品の確認

このキットには写真のような部品が入っています。部品リスト通りの部品が揃っているか、破損していないかを確認します。
そして、完成写真や完成図を参考に、各部品が基板上にどう配置されるのかをイメージしましょう。

抵抗を確認する

「抵抗」とは、その名の通り電気の流れを制限する部品です。次の4つが入っています。

R1 , R4 360 Ω (橙、青、茶、金) 2個
R2 , R3 220 kΩ(赤、赤、黄、金) 2個

抵抗値の見分け方ですが、見た目で見分ける場合、色の付いた4本の帯が印刷されていますので、ルーペ等で読み取ります。
写真は220kΩ(キロオームと読みます)ですが、左から順番に、赤、赤、黃、金 となっています。テスターをお持ちの場合は、抵抗値を測って判別することもできます。

電解コンデンサを確認する

次に「電解コンデンサ」という部品を確認します。電気を蓄える働きの部品です。
C1とC2どちらも 10 μF です(μFは容量の単位で、マイクロファラッドと読みます)。
コンデンサの本体に印刷されている「μF」の前の数字をみて判断します。

トランジスタを確認する

次は「トランジスタ」です。電気を流したり止めたり、スイッチの働きをする部品です。
Q1とQ2で計2個あります。C458、C945、C1815  のどれかが入っています。
トランジスタには性能が似ているものが複数あり、キットによっては部品の調達の都合で何種類かのうちのどれか、となっている場合があります。品番が本体に印刷されているので、これをみて判断します。今回はC1815が入っていました。

LEDを確認する

次は「LED」です。色は透明ですが赤色に光ります。2個あります。

電池スナップを確認する

電池から基板に電気を供給する為のものです。006P型角型乾電池(9V)用です。
電線のちぎれ等がないか確認します。

基板を確認する

最後は「基板」です。
パターンという銅箔で部品同士を電気的に繋いで回路を作る板で、熱に強く、絶縁性のある素材でできています。割れや傷が無いか確認しましょう。

作っていこう!

部品を取り付ける順番と注意点

部品の確認がOKなら、さっそく作っていきましょう。
部品を付ける順番ですが、大抵のキットでは組立説明書に書かれていますが、このキットでは明確に書かれていません。このような場合は、基本的に背の低い部品から順番にはんだ付けしていきます。
その方が部品を基板に挿したり、はんだ付けがしやすいからです。

注意する点は、部品の取り付ける向きです。部品には、取り付け向きの決まっている部品と決まってない部品があります。取り付け向きの決まっている部品は、説明書にそう書かれています。大雑把に言って、決まっていない部品は抵抗と一部のコンデンサで、その他は向きが決まっていると思って下さい。
また、部品は、基板の銅箔のある面と反対側の面(一般的には部品面といいます)に取り付けます。

抵抗を付ける

抵抗は取り付け向きは決まっていません
ではR1(360 Ω 橙、青、茶、金)から順番に取り付けます。
まず、下の写真のように足(銅線の部分)を根本で曲げます。曲げる所の位置は大体でいいいですが、できれば、基板の穴の間隔にピッタリ合うように曲げましょう。

そして基板のR1と書かれた所の穴に、できるだけ基板に近づくように差し込みます。

そして、ひっくり返して反対面のドーナツ形の銅箔部分(ランドといいます)と足をはんだ付けするのですが、単に部品を挿しただけでは部品が落ちたり、こてを当てた時に足が動いてうまくはんだ付けできないので、足をハの字に曲げて動かないようにします(テープで固定してもOK)。曲げるのは少しでOKです。キツく曲げると、間違った部品を外す時に引っ掛かって外しにくくなります。

そして、基板もクリップ等で挟むかテープで動かないよう固定しましょう。
これが結構重要で、基板が動かなることで、はんだ付けが格段にしやすくなります。
あと、はんだごてや加熱された部品は200℃以上にもなりますので、木など耐熱性のものの上で作業するようにして下さい。こんな感じではんだ付けします。

写真のように、はんだが山の形になって、ツヤがあればちゃんとはんだ付けできています。多少膨らんでいてもOKです。


その後、ニッパーで足を切ります。

同じようにして残りの3個もはんだ付けします。
写真は抵抗を全部取り付けた状態です。

ひとつの部品のはんだが終わって次の部品をはんだする前に、こて先に付いた汚れたはんだをスポンジでぬぐってきれいにしましょう。
何度もぬぐうと、こて先の温度が下がるのでササッとでOKです。

電解コンデンサを付ける

取り付け向き(プラス/マイナスの極性)の指定があります
電解コンデンサは足の長い方がプラス(+)ですので、下の写真の向き(説明書の図の向き)で挿入して下さい。ちなみに、白い帯がある方はマイナス(ー)です。
ここで注意ですが、基板の穴の間隔が部品の足の間隔より少し広い為、基板にピッタリ着けようとすると部品に無理が掛かるので、基板から5mmぐらい浮く位置までにしましょう。あとは抵抗と同じようにはんだ付けして下さい。
C2はC1と向きが反対なので注意して下さい。

トランジスタ、LED、電解コンデンサの取り付けの順番ですが、この3つは背の高さがほとんど同じなのでどれから付けても問題ありません。

LEDを付ける

同じく取り付け向きの指定があります。LEDは発光ダイオードのことで、ダイオードの極性は、足の長い方をアノード(A)、短い方をカソード(K)と言います。
下図のように、カソード(K)を基板のマークの縦線の方に合わせて挿入します。
挿したら、ひっくり返してはんだ付けし、足を切ります。

トランジスタを付ける

取り付け向きの指定があります。基板に印刷されている形とトランジスタの形(平らな面)を合わせます。
電解コンデンサと同じく、基板の穴の間隔が部品の足の間隔より少し広い為、基板にピッタリ着けようとすると部品に無理が掛かるので、基板から5mmぐらい浮く位置までにしましょう。挿したら、ひっくり返してはんだ付けし、足を切ります。
以上で基板上の部品は全部取り付いたはずです。

電池スナップを付ける

最後に電池スナップを付けます。配線の取り付け箇所(極性)の指定があります
赤線がプラスですので、基板の(+)マークの穴に挿入します。
黒線はマイナスで、基板の(ー)マークの穴に挿入します。


ひっくり返して、テープで固定して(ココがポイント)はんだ付けします。動くとはんだ付けしにくいです。

以上で完成です。

部品が余っていないか確認する

部品を全部取り付けたら、基板上に部品の無い箇所が無いか、余った部品が無いか確認します。(キットによっては余分の部品を入れてある場合もあります)
基板上に部品が全部ついていれば完成と言えます。

動作の確認と修正

電池スナップに電池をつないでみましょう。
正しく作れていれば、約1秒ごとにLEDが交互に点くはずです。
点かない場合は電池を外し、まず部品の取り付け位置や向きが間違っていないか確認します。それらが問題ない場合は、すべてのはんだ部分にもう一度はんだごてを数秒間当ててみましょう。はんだがうまく馴染んでない場合があるからです。
はんだのツヤがなく、ザラザラ、トゲトゲしている場合は、加熱のし過ぎではんだが劣化した状態です。この場合、はんだ吸い取り機や吸い取り線で一度はんだを除去し、再度はんだ付けしましょう。
再度、電池をつなげて確認し、それでも動かない場合は、はんだ時の加熱のしすぎによって部品や銅箔が傷んでしまった可能性があります。
こうなると、かなり電気の知識が無いと解決は難しいので、詳しい方に見てもらうか、新しく買い直すか、修理を依頼して下さい。
このキットの場合、共立プロダクツで修理受付をされており、費用はキット購入より高く付きますが、何が原因だったのかを知ることで勉強にはなりますので、余裕のある方は依頼されてみてはどうでしょうか。