工作の中でも人気の高い電子工作。電子部品を一つひとつ取り付けていき、完成したものが動くとちょっとした感動ものです。
今回ご紹介する電子工作キットは、昔から定評のある「ワンダーキットシリーズ」の「パッパちゃん2」というはんだ付けのキットです。
部品点数が少なく、はんだ付けの解説書も付いているので、はんだ付けが初めての方でも心配のないキットです。
本記事では作り方を徹底解説していますので、ぜひチャレンジしてみて下さい。
組み立ての難しさ | はんだ付け初めての人もOK |
---|---|
良いところ | 安くて組み立て簡単。単3アルカリ電池1本で2~3ヶ月動作する。 |
残念なところ | 説明図がちょっと小さい。 |
注意点 | 特になし |
キット紹介と準備物
動作としては、LEDランプが2秒ごとにフラッシュするだけのものですが、車や家の裏口などに付けておく事で、簡易的な防犯装置としても使えます。電源は、単3アルカリ電池1本で2~3ヶ月もつとの事です。
本記事では写真と共に製作手順を解説していきますが、基本的なはんだ付けのしかたについては、こちらの記事、はんだ付けの修正については、こちらの記事、道具についてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。
本キットの他に必要なものは「はんだ」と「ケース」です。
はんだは、太さ0.8mmのヤニ入りのものがオススメです。
ケースは、記事の最後でピッタリサイズのものを紹介していますので参考にして下さい。
なお、この記事で使っているはんだごてはコレです。
製作の流れ
電子工作キットの一般的な製作の流れとしては、
① 部品を確認する(種類・個数)
② 背の低い部品からハンダ付けする
③ 部品が全部付いたか確認する
④ 動作を確認する
という感じで、本キットも同じ流れで作ります。以降、順番に解説していきます。
部品の確認
このキットには写真のような部品が入っています。部品リスト通りの部品が揃っているか、破損していないかを確認します。
そして、完成写真や完成図を参考に、各部品が基板上にどう配置されるのかをイメージしましょう。
抵抗を確認する
まず「抵抗」という部品を確認します。その名の通り、電気の流れを制限する部品です。
この部品は全部で4個あり、R1とR3は同じ抵抗値ですので、種類としては3種類あります。
抵抗値の見分け方ですが、見た目で見分ける場合、色の付いた4本の帯が印刷されていますので、ルーペを使ってこれを読み取ります。(金色または銀色の帯と反対側から順番に読みます)
R1とR3は黄、紫、赤、金 R2は茶、黒、赤、金 R4は茶、緑、緑、金 です。
写真の抵抗の場合、左から黄、紫、赤、金ですのでR1とR3になります。
テスターをお持ちの場合は、抵抗値を測って判別することもできます。
コンデンサを確認する
次に「電解コンデンサ」という部品を確認します。電気を蓄える働きの部品です。
C1の100μF と、C2の1μF の2種類が各1個ずつあります。
(μFはコンデンサの容量の単位で、マイクロファラッドと読みます)
コンデンサの本体に印刷されている「μF」の前の数字をみて判断します。
または、このキットでは2種類しかないので、平べったい方が100μFで、細長い方が1μFと判断できます。
写真のコンデンサの場合、1が見えていませんが100μFで、C1になります。
トランジスタを確認する
次は「トランジスタ」です。電気を流したり止めたり、スイッチの働きをする部品です。
Q1と、Q2の2種類が各1個ずつあります。
Q1は、A733 又は A1015 のどちらかが入っています。
Q2は、C945 又は C1815 又は C458 のどれかが入っています。
トランジスタには性能が似ているものが沢山あるので、このように何種類かのうちのどれかが入っている場合があります。
品番が本体に印刷されているので、これをみて判断します。
写真の場合、左側がA1015でQ1、右側がC1815でQ2になります。
LEDを確認する
次は「LED」です。ご存知のように光を放つ部品です。色は透明ですが、赤色に光ります。
1個だけです。
電池ボックスを確認する
電池から基板に電気を供給する為のものです。単3電池用です。
割れや、電線のちぎれがないか確認します。
基板を確認する
最後は「基板」です。
パターンという銅箔で部品同士を電気的に繋いで回路を作る板で、熱に強く、絶縁性のある素材でできています。割れが無いか確認しましょう。
作っていこう!
部品を取り付ける順番と注意点
部品の確認がOKなら、さっそく作っていきましょう。
部品を付ける順番ですが、大抵のキットでは組立説明書に書かれていますが、書かれていない場合は、基本的に背の低い部品、小さい部品から順番にはんだ付けしていきます。
その方が部品の足(銅線の部分)を基板に挿したり、はんだ付けがしやすいからです。
注意する点は、部品の取り付ける向きです。部品には、取り付け向きの決まっている部品と決まってない部品があります。取り付け向きの決まっている部品は、説明書にそう書かれています。大雑把に言って、決まっていない部品は抵抗と一部のコンデンサで、その他は向きが決まっていると思って下さい。
また、部品は、基板の銅箔のある面と反対側の面(一般的には部品面といいます)に取り付けます。
抵抗を付ける
抵抗は取り付け向きは決まっていません。
ではR1から順番に取り付けます。
まず、下の写真のように足(銅線の部分)を根本で曲げます。
そして基板のR1と書かれた所の穴に、できるだけ基板に近づくように差し込みます。
そして、ひっくり返して反対面のドーナツ形の銅箔部分(ランド)と足をはんだ付けするのですが、単に部品を挿しただけでは部品が落ちたり、こてを当てた時に足が動いてうまくはんだ付けできないので、足を曲げて動かないようにします。マスキングテープで固定してもOKです。
下の写真のように、曲げるのは少しでOKです。キツく曲げると、間違った部品を外す時に引っ掛かって外しにくくなります。
そして、基板もクリップ等で挟むかテープで動かないよう固定しましょう。
これが結構重要で、基板が動かなることで、はんだ付けが格段にしやすくなります。
あと、はんだごてや加熱された部品は200℃以上にもなりますので、木や鉄などの熱に強い板の上で作業するようにして下さい。
こんな感じではんだ付けします。
ニッパーで足を切って、下の写真のようになればOKです。
あとは、同じようにして残りの3個もはんだ付けします。
写真は抵抗を全部取り付けた状態です。
電解コンデンサを付ける
次は、電解コンデンサをC1(100μF)から取り付けます。 電解コンデンサは取り付け向き(プラス/マイナスの極性)の指定があります。コンデンサの足の長い方(+)と基板のプラス(+)のマークを合わせて取り付けて下さい。ちなみに、コンデンサの白い帯がある方はマイナス(ー)です。
差し込んだら、抵抗と同じようにはんだ付けして下さい。C2も同様にして取り付けます。
ひとつの部品のはんだが終わって次の部品をはんだする前に、こて先に付いた汚れたはんだをスポンジでぬぐってきれいにしましょう。
何度もぬぐうと、こて先の温度が下がるのでササッとでOKです。
トランジスタを付ける
次はトランジスタです。同じく取り付け向きの指定があります。
基板に印刷されている形とトランジスタの形を合わせます。
足の間隔より挿入穴の間隔が広いので、少し力を入れて広げながら入れていく形になります。入れ過ぎると足に負担が掛かるので、トランジスタの下面が基板から3~5mm上の位置で止めましょう。
挿したら、ひっくり返してはんだ付けし、足を切ります。
LEDを付ける
次はLEDで、同じく取り付け向きの指定があります。
LEDの極性は、足の長い方をアノード(A)、短い方をカソード(K)と言います。
足の長い方を基板の(A)のマークに合わせて挿入します。
挿したら、ひっくり返してはんだ付けし、足を切ります。
以上で基板上の部品は全部取り付いたはずです。
電池ボックスを付ける
最後に電池ボックスを付けます。配線の取り付け箇所(極性)の指定があります。
赤線がプラスですので、基板の(+)マークの穴に挿入します。
黒線はマイナスで、基板の(ー)マークの穴に挿入します。
ひっくり返して、テープで固定して(ココがポイント)はんだ付けします。動くとはんだ付けし難いです。
以上で完成です。
部品が余っていないか確認する
部品を全部取り付けたら、基板上に部品の無い箇所が無いか、余った部品が無いか確認します。(キットによっては余分の部品を入れてある場合もあります)
基板上に部品が全部ついていれば完成と言えます。
動作の確認と修正
電池ボックスに電池をいれてみましょう。うず巻バネの方がマイナス側です。
正しく作れていればLEDが約2秒ごとにフラッシュ点滅するはずです。
しない場合は電池を外し、まず部品の取り付け位置や向きが間違っていないか確認します。それらが問題ない場合は、すべてのはんだ部分にもう一度はんだごてを数秒間当ててみましょう。はんだがうまく馴染んでない場合があるからです。
はんだのツヤがなく、ザラザラ、トゲトゲしている場合は、加熱のし過ぎではんだが劣化した状態です。この場合、はんだ吸い取り機や吸い取り線で一度はんだを除去し、再度はんだ付けしましょう。
再度、電池を入れて確認し、それでも動かない場合は、はんだ時の加熱のしすぎによって部品や銅箔が傷んでしまった可能性があります。
こうなると、かなり電気の知識が無いと解決は難しいので、詳しい方に見てもらうか、新しく買い直すか、修理を依頼して下さい。
このキットの場合、共立プロダクツで修理受付をされており、費用はキット購入より高く付きますが、何が原因だったのかを知ることで勉強にはなりますので、余裕のある方は依頼されてみてはどうでしょうか。
ケースに入れよう
完成したらケースに入れましょう。防犯用途で車などに設置する場合、ケースメーカーが販売している密閉ケースがオススメです。
電子工作キットを扱っているお店では大抵扱っていますし、アマゾンなどでも購入できます。
このキットにピッタリサイズのケースは下の2つです。
テイシン モールドケース TB51B
(2024/12/23 03:46:10時点 楽天市場調べ-詳細)
タカチ SW型プラスチックケース SW65B
(2024/12/22 16:54:41時点 楽天市場調べ-詳細)
今回はテイシン モールドケース TB51Bを使って説明します。
ケースへの入れ方ですが、まずケース内に基板と電池ボックスをレイアウトし、LEDの位置の見当をつけます。今回は基板を横向きにし、LEDがケースの左隅に来るように配置しました。
この場合、LEDの中心はケース端から7mmぐらいの所になりましたので、そこに直径5mmぐらいの穴を開けます。(LEDの直径が5mmです)
穴があいたら、LEDを穴の位置に合わせ、基板を両面テープや接着剤などで固定します。
今回は両面テープで付けましたが、基板が動くので詰め物をしています。
電池ボックスも両面テープで固定します。
電池を入れ、ケースのフタをします。LEDのフラッシュがよく見えれば完成です!
いかがでしたか? 本キットにはキット製作の基本が詰まっており、これができれば他のキット製作も難しくありません。ぜひ、他のキットにも挑戦してみて下さい。