はんだ付けの基本
ここでは、電子工作キットのはんだ付けを想定して、はんだ付け初心者の方向けに基本と、うまくいかない場合の解決方法を解説しています。
はんだ付け練習用キットも市販されていますので、いきなりキットをつくるのが不安な方は、まずこれらで練習するのも手です。
はんだ付けの道具についてはこちらの記事で解説していますので、あわせてご参照下さい。
はんだごての金属部分は200℃以上もの高温になります。やけどや火災にならないよう、注意して取り扱いましょう。
また、木の板やシリコンマットなど耐熱性の敷物の上で作業しましょう。
準備する
こて台のスポンジに水を染み込ませておきます。ヒタヒタではなく、少し湿る程度でOKです。
はんだ付けの手順
以下、抵抗やLED等のよく使う部品のはんだ付けを想定して、詳しく解説していきます。
1.はんだごてを準備する
まず、はんだごての電源を入れます。1分ほど待って、こて先にはんだを当ててみて、写真のように溶けて馴染めば準備OKです。
充分加熱しているのに馴染まない場合は、こて先の表面が酸化して、はんだを弾いています。黒ずんだり、ツヤのない状態のはずです。この場合、はんだを3cm分ぐらいこて先に溶かして、スポンジでぬぐう、というのを3回ぐらい繰り返すと、はんだの中にあるフラックス(ヤニ)の働きで酸化膜がとれて復活するでしょう。
2.部品の足とランドを加熱する
こて先をスポンジでぬぐってキレイにしてから、部品の足(電線の部分)とランド(基板のドーナツ形の銅箔)の両方に当てて、はんだが溶ける温度まで加熱します。
加熱時間の目安は、抵抗やLED等の小さい部品は3、4秒ぐらいで、スイッチやDCジャックなど大きめの部品は7、8秒ぐらいです。
3.はんだを送り込む
次に、はんだを足の根元あたりに当てて溶かしていきます。
充分に加熱できれいれば、はんだがスーッと広がっていくはずです。
広がっていかない場合は、もう2~3秒加熱します。
溶かすはんだの量は普通1~2cm程度で、富士山の形になる量です。
4.はんだを離す
はんだが部品の足とランド全体に行き渡ったら、はんだをこて先より先に離します。
5.こて先を離す
はんだを離したら、その状態で2~3秒待って、はんだを馴染ませます。
はんだにツヤがあり、富士山の形になっていれば、うまくできた証拠です。
とはいえ、実際のところ趣味レベルではそんなにきれいな富士山形でなくてもかまいません。多少膨らんでいてもOKです。
はんだが溶けない場合の原因と対応
1.こて先表面の問題
こて先の表面が酸化して熱がうまく伝わっていない可能性があります。こて先はピカッと光っている状態が良い状態です。曇ったり黒ずんでいる状態は酸化しています。この場合、はんだを3cm分ぐらいこて先に溶かして、スポンジでぬぐう、というのを3回ぐらい繰り返すと、はんだの中にあるフラックス(ヤニ)の働きで酸化膜がとれて復活するでしょう。
2.こて先熱容量の問題
大きい部品や、ランドがドーナツ形ではなく広い銅箔になっている場合は、熱がどんどん逃げていくのでこて先から熱の供給が追いつかず、はんだが部品やランドに広がっていきません。
10秒以上こて先を当ててもはんだが広がっていかない場合は、はんだごての(こて先の)熱容量不足と考えられます。B形のこて先の場合は熱容量が小さいので、C形に変えてみましょう。
初級~中級の電子工作キットの場合はこれで対応できるはずですが、それでもダメな場合は、はんだごてのワット数をさらに10~20W大きいものにしましょう。
また、温度調整タイプのはんだごては、20~30℃設定温度を上げてみましょう。
失敗例と対応
はんだの失敗例と対応について解説します。
イモはんだ
イモはんだとは、はんだが部品の足やランドに馴染んでいないので、ボテッとイモのように丸くなっている状態です。原因は加熱時間が短かったか、足やランドの表面が酸化してはんだが馴染まなかった可能性があります。
こんな場合は、再度、はんだにこて先を当てて加熱しましょう。
それでも馴染んでいかない場合は、はんだ吸い取り線などではんだを除去して、はんだをやり直しましょう。
除去したいはんだの上に吸い取り線を当てて、その上からこて先を当てます。すると、はんだが網線に吸い込まれます。その後、吸い取り線とこて先を離しましょう。一度で取り切れなかった場合、吸い取り線のはんだのある部分を切りとって、再度同じ事をします。
はんだ除去のやり方は、こちらの記事 でも詳しく紹介しています。