電子工作キット

温度センサーキットを作ろう!【前編】

今回ご紹介する電子工作キットは、マイコンキットドットコムさんの「MK-319 防水センサー・表示・リレー付き!-20℃から120℃対応、温度センサーキット」というはんだ付けのキットです。
市販の温度計(室温計)はほとんど液晶表示なので、LED表示の見やすい温度計を探していた所、このキットを見つけました。
マイコンキットドットコムさんでは様々なジャンルの実用的な電子工作キットを販売されており、本キットはこちらから購入できます。
【前編】では基板部分までの作り方を、【後編】では配線接続と使い方の解説をしています。
本記事では、写真と共に製作手順を徹底解説していきますが、基本的なはんだ付けのしかたや必要な道具については、こちらの記事、はんだ付けの修正については、こちらの記事、道具についてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。
また、このキットを使った高温警報付き温度計の製作記事も紹介しています。合わせてご参照下さい。

このキットについて

ー20℃から120℃まで測れる外部センサー式の温度計です。気温はもちろん、センサー部分は防水なのでお湯の温度を測ったりもできます。加えて、設定した温度でリレー(スイッチ)を駆動させる機能を搭載しています。これにより、例えば気温が上がって25℃になるとファンを回すとか、水槽の水温が上がって27℃になると警報を鳴らすなどできます。
また、温度表示がLEDなので遠くからでも抜群に見やすいです。

製作に必要なものは「はんだ」です。はんだは、太さ0.8mmのヤニ入りはんだがオススメです。

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電源としては、比較的電気を使うリレーを動作させない場合でも実測で30~50mA程度の電流を使う(数字表示LEDの表示状態による)ので、一時的に使うなら電池駆動でもいいですが、常時通電して使うならACアダプタを使うのが現実的です。適合するACアダプタは、電圧DC12V、電流300mA以上、プラグ軸径2.1mm、外径5.5mm、センタープラスのものです。

組み立ての難しさ  部品数が多く、はんだ付け初めての方は難しいかも。
良いところ 丁寧な説明書。実用的、コスパ良し。
気になるところ マニュアルなどサポートはすべてメーカーWebサイトを参照。
注意点 100V高電圧を制御する場合は知識がないと危険。

製作の流れ

電子工作キットの一般的な製作の流れとしては、

① 部品を確認する(種類・個数)
② 背の低い部品からハンダ付けする
③ 部品が全部付いたか確認する
④ 動作を確認する

という感じで、本キットも同じ流れで作ります。
マニュアルを一通り読んで手順を理解しておきましょう。
以降、順番に解説していきます。

部品の確認

このキットには写真のような部品が入っています。マニュアルはメーカーの製品ページこちらにあります。部品リスト通りの部品が揃っているか、破損していないかを以下の写真と共に確認しましょう。
そして、完成写真や完成図を参考に、各部品が基板上にどう配置されるのかをイメージしておくと作業がスムーズに進むでしょう。

ダイオードを確認する

「ダイオード」とは電気の流れを一方向のみに制限する部品です。「IN4007」と書かれたものが3個あります。

抵抗を確認する

「抵抗」とは、その名の通り電気の流れを制限する部品です。
この部品は次の4種類あります。

R2 10kΩ (茶、黒、橙、金) 1個
R3 2.2kΩ(赤、赤、赤、金) 1個
R4, 5 1kΩ (茶、黒、赤、金)又は 1.2kΩ(茶、赤、赤、金) 2個
R6, 7, 8, 11 4.7kΩ (黄、灰、赤、金) 4個

抵抗値の見分け方ですが、見た目で見分ける場合、色の付いた4本の帯が印刷されていますので、ルーペを使ってこれを読み取ります。
写真は1kΩ(キロオームと読みます)ですが、左から順番に、茶、黒、赤、金 となっています。
テスターをお持ちの場合は、抵抗値を測って判別することもできます。

集合抵抗を確認する

抵抗を何個か集めてパッケージにした部品です。2個あります。
真ん中へんに、221又は201と書かれているはずです。

セラミックコンデンサを確認する

コンデンサは一般的に電気を蓄える働きの部品です。0.1μF が3個あります。(μFはコンデンサの容量の単位で、マイクロファラッドと読みます)
印刷されている数字を読んで判断します。「104」と書かれているはずです。

電解コンデンサを確認する

100μF が1個あります。印刷されている数字を読んで判断します。

トランジスタを確認する

数字を表示する7セグLEDに電気を供給する役割の半導体部品です。
「BC548」と書かれているものが4個あるはずです。

ICを確認する

「IC」は半導体集積回路です。このキットの頭脳となる部品で、各部品に司令を出しています。「PIC 16F1827 319」と書かれているものが1個あるはずです。

ICソケットを確認する

ICを基板に直接はんだ付けするのではなく、ICソケットに挿して使うと便利なことがあります。まず、ICがはんだ付けの熱で壊れることを防止できます。また、ICが壊れた場合に簡単に交換できます。

タクトスイッチを確認する

タクトスイッチは押した時に電気を通す部品です。1個入っています。

スライドスイッチを確認する

電源を入り切りするスイッチです。1個入っています。

ボリュームを確認する

ボリュームは可変抵抗器のことで、抵抗値を変えられる抵抗です。
「103」と書かれたものが1個あります。

DCジャックを確認する

ACアダプタ等の電源を接続し、電気を受ける部品です。1個あります。

ターミナルブロックを確認する

センサー等の外部ケーブルを接続する為のものです。3口が2個、2口が1個あります。

リレーを確認する

リレーはスイッチの一種で、電磁石の力で接点を開閉して、大きな電流を流したり切ったりできます。

表示用LEDを確認する

多くのLEDを集めて1個にした部品です。7つのセグメントのLEDでひとつの数字を表現することから「7セグLED」とも呼ばれます。3個あります。

基板を確認する

「基板」は板上にパターンという銅箔で部品同士を電気的に繋いで回路を作ったものです。部品をはんだ付けするドーナツ形の部分を「ランド」と言います。割れや傷が無いか確認しましょう。

温度センサーを確認する

線の色の組み合わせが何パターンかあるようです。私の場合は赤、黄、黒でした。センサーの説明書きがついていますので接続の時に確認して下さい。

作っていこう!

部品を取り付ける順番と注意点

部品の確認がOKなら、さっそく作っていきましょう。
本キットでは部品を付ける順番が書かれていますので、その通りに取り付けましょう。
どんなキットでも、基本的には背の低い部品、小さい部品から付ける順番になっています。
その方が部品の足(銅線の部分)を基板に挿したり、はんだ付けがしやすいからです。

注意する点は、部品の取り付ける向きです。部品には、取り付け向きの決まっている部品と決まってない部品があります。取り付け向きの決まっている部品は、説明書にそう書かれています。大雑把に言って、決まっていない部品は抵抗と一部のコンデンサで、その他は向きが決まっていると思って下さい。
また、部品は、基板の銅箔のある面と反対側の面(一般的には部品面といいます)に取り付けます。

ダイオードを付ける

ダイオードは取り付け向きの指定があります
写真のように、線が入っている方(カソード)を基板の線のマークに合わせます。
足(銅線の部分)を根本で曲げ、D1と書かれた所に、できるだけ基板に近づくように差し込みます。

そして、ひっくり返して反対面のドーナツ形の銅箔部分(ランド)と足をはんだ付けするのですが、単に部品を挿しただけでは部品が落ちたり、こてを当てた時に足が動いてうまくはんだ付けできないので、足を曲げて動かないようにします。マスキングテープ等で固定してもOKです。あまりキツく曲げると、もし部品を外す時に引っ掛かって外しにくくなります。

そして、基板もクリップ等で挟むかテープで動かないよう固定しましょう。
これが結構重要で、基板が動かなることで、はんだ付けが格段にしやすくなります。
あと、はんだごてや加熱された部品は200℃以上にもなりますので、木やシリコンマットなどの熱に強い板の上で作業するようにして下さい。
こんな感じではんだ付けします。

写真のように、はんだが山の形になって、ツヤがあればちゃんとはんだ付けできています。多少膨らんでいてもOKです。その後、ニッパーで足を切ります。

ひとつの部品のはんだが終わって、次の部品をはんだする直前に、こて先に付いた汚れたはんだをスポンジでぬぐってきれいにしましょう。
何度もぬぐうとこて先の温度が下がるのでササッとでOKです。

抵抗を付ける

抵抗は取り付け向きは決まっていません
R2から順番に取り付けます。ダイオードと付け方は同じです。
足を根本で曲げて基板のR2と書かれた所に差し込み、はんだ付けして下さい。

セラミックコンデンサを付ける

取り付け向きは決まっていません。基板のC1、C2、C4に差し込んで、はんだ付けします。

集合抵抗を付ける

取り付け向きは決まっていません。基板のR9、R10に差し込みます。
動きやすいのでテープ等で固定してはんだ付けしましょう。

ICソケットを付ける

取り付け向きの指定があります凹みのある方を基板の凹みマークと一致させて差し込みます。

まず、端の2箇所(写真では右上と左下)をはんだ付けします。裏返して、部品が基板から浮いていない事を確認してから、全部の足をはんだ付けします。

はんだ付け後の状態です。足は切る必要はありません。

レギュレータICを付ける

取り付け向きの指定があり、足を曲げて使います
黒いケースの品番表示のある面を上にして、足を下に曲げます。ケース下面から6mmの所で直角に曲げます。
やや大きい部品なので、ちょっと長めにこて先をあてる必要があるかもしれません。
テープで固定するか、クリップで挟んではんだ付けします。

タクトスイッチを付ける

写真の向きに取り付けます。
基板にピッタリ付くまで差し込んで、はんだ付けして下さい。

ボリュームを付ける

足の位置と基板の穴位置を合わせます。
基板にピッタリ付くまで差し込んで、はんだ付けして下さい。

LEDを付ける

赤色をD3(上側)、黄色をD5(下側)に取り付けます。
取り付け向きの指定があります。
LEDの足の長い方をアノード(A)、短い方をカソード(K)と言います。
写真のように、カソードを基板の穴の四角の方に合わせて挿入します。
テープで固定して浮かないようにはんだ付けし、足を切ります。

トランジスタを付ける

取り付け向きの指定があります。
基板に印刷されている形とトランジスタの形を合わせます。
足の間隔より挿入穴の間隔が広いので、少し力を入れて広げながら入れていく形になります。入れ過ぎると足に負担が掛かるので、トランジスタの下面が基板から5mmぐらい上の位置で止めましょう。
挿したら、ひっくり返してはんだ付けし、足を切ります。
トランジスタ(半導体)は熱に弱いので、できるだけ素早くはんだ付けしましょう。

電解コンデンサを付ける

取り付け向き(プラス/マイナスの極性)の指定があります。コンデンサの足の長い方がプラス(写真では左側)なので、基板のプラス(+)のマークと合わせて挿入し、はんだ付けして下さい。

スライドスイッチを付ける

取り付け向きは決まっていません。基板に着くまで差し込んで、はんだ付けします。

DCジャックを付ける

ACアダプタ等の電源を接続する部品です。差し込み口が外に向くよう取り付けます。テープ等で固定し、浮かないようにはんだ付けします。
やや大きい部品なので、ちょっと長めにこて先をあてる必要があるかもしれません。

ターミナルブロックを付ける

外部センサー等のケーブルを接続する部品です。写真のように、差し込み口が外を向くように取り付けます。2種類あるので、間違わないように注意しましょう。

リレーを付ける

基板の穴位置と合わせ挿入します。やや大きい部品なので、ちょっと長めにこて先をあてる必要があるかもしれません。

7セグLEDを付ける

まず保護シートをはがしておきましょう。その方が位置合わせがしやすくなります。


取り付け向きの指定があります。写真のように、ドットが右下になるように挿入しましょう。3つの位置を揃えてからはんだ付けし、足を切ります。

ICをソケットに付ける

取り付け向きの指定があります。凹みのある方をソケットの凹みと一致させて差し込みます。足が少し広がっている事がほとんどなので、足を内側に曲げて直角に近づけてから差し込みます。

以上で完成です!
写真のように全部の部品が付いているはずです。お疲れさまでした。
続いて、後編へとお進み下さい。