今回ご紹介する電子工作キットは、共立プロダクツの「温度感知自動ラーメンタイマー
KP-ISNT03」というはんだ付けのキットです。共立プロダクツは、共立電子産業の工作キットブランドで、品質と作りやすさで定評があります。
このキットは初級レベルで、作ったあとの実用性も高いです。
また、はんだ付けの解説書も付いており、はんだ付けが初めての方でも心配のないキットです。
本記事では作り方を徹底解説していますので、ぜひチャレンジしてみて下さい。
組み立ての難しさ | 初級(はんだ付け初めてでもOK) |
---|---|
良いところ | 丁寧な説明書と良質な部品ではんだ付け初心者にも優しい |
気になるところ | 特になし |
組立上の注意 | センサーのはんだ付けに注意しましょう |
このキットについて
カップ麺の上にのせて使う3分タイマーです。温度センサー搭載で、フタの上に置くとお湯の熱を感知し、タイマーが自動スタート。時間が来るとチャルメラのメロディーとブザーでお知らせ。フタの押さえにもなって一石二鳥なキットです。
タイマーは標準で3分ですが、2分、4分、5分も設定可能です。
本記事では実際に写真と共に製作手順を解説していきますが、基本的なはんだ付けのしかたについては、こちらの記事、はんだ付けの修正については、こちらの記事、道具についてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。
本キットの他に必要なものは「はんだ」と「CR2032 コイン電池」です。
はんだは、太さ0.8mmのヤニ入りのものがオススメです。
製作の流れ
電子工作キットの一般的な製作の流れとしては、
① 部品を確認する(種類・個数)
② 背の低い部品からハンダ付けする
③ 部品が全部付いたか確認する
④ 動作を確認する
という感じで、本キットも同じ流れで作ります。以降、順番に解説していきます。
部品の確認
このキットには写真のような部品が入っています。部品リスト通りの部品が揃っているか、破損していないかを確認しましょう。
そして、完成写真を参考に、各部品が基板上にどう配置されるのかをイメージしておくと作業がスムーズに進むでしょう。
抵抗を確認する
「抵抗」とは、その名の通り電気の流れを制限する部品です。
4種類の抵抗値があり、各1個入っています。
抵抗値の見分け方ですが、見た目で見分ける場合、色の付いた4本の帯が印刷されていますので、ルーペを使ってこれを読み取ります。
写真のR1の場合、順番に、赤、赤、橙、金 となっているか確認して下さい。
テスターをお持ちの場合は、抵抗値を測って判別することもできます。
積層セラミックコンデンサを確認する
青い部品で、104と書かれています。1個あります。
ICを確認する
ICは集積回路です。このキットの頭脳となる部品で、各部品に司令を出しています。
「12F1822」と書かれているものが1個あるはずです。
ICソケットを確認する
ICを基板に直接はんだ付けするのではなく、ICソケットに挿して使うと便利なことがあります。まず、ICがはんだ付けの熱で壊れることを防止できます。また、ICが壊れた場合に簡単に交換できます。1個あります。
LEDを確認する
緑色のものが1個あります。
タクトスイッチを確認する
スイッチはICに指示を入力する部品です。1個入っています。
ブザーを確認する
セラミックス板に電圧を掛けることで伸び縮みする性質を利用して音を出す部品です。
1個あります。
温度センサーを確認する
サーミスタという温度によって抵抗値が変化する性質を利用した部品です。
1個あります。
コイン電池ホルダーを確認する
電池を保持するものです。1個あります。
基板を確認する
基板は、板上にパターンという銅箔で部品同士を電気的に繋いで回路を作ったものです。
部品をはんだ付けするドーナツ形の部分を「ランド」と言います。
割れやパターンの傷が無いか確認しましょう。
アクリル板を確認する
土台となる円盤が1個あります。保護シートを剥がしましょう。
作っていこう!
部品を取り付ける順番と注意点
部品の確認がOKなら、さっそく作っていきましょう。
本キットでは部品を付ける順番が書かれていますので、その通りに取り付けましょう。
どんなキットでも、基本的には背の低い部品、小さい部品から付ける順番になっています。
その方が部品の足(銅線の部分)を基板に挿したり、はんだ付けがしやすいからです。
注意する点は、部品の取り付ける向きです。部品には、取り付け向きの決まっている部品と決まってない部品があります。取り付け向きの決まっている部品は、説明書にそう書かれています。大雑把に言って、決まっていない部品は抵抗と一部のコンデンサで、その他は向きが決まっていると思って下さい。
また、部品は、基板の銅箔のある面と反対側の面(一般的には部品面といいます)に取り付けます。
ただし、このキットでは例外的に温度センサーだけは銅箔面に取り付けます。
抵抗を付ける
抵抗は取り付け向きは決まっていません。R1から順番に取り付けます。
足(銅線の部分)を根本で曲げ、R1と書かれた所の穴に、できるだけ基板に近づくように差し込みます。
そして、ひっくり返して反対面のドーナツ形の銅箔部分(ランド)と足をはんだ付けするのですが、単に部品を挿しただけでは部品が落ちたり、こてを当てた時に足が動いてうまくはんだ付けできないので、足を曲げて動かないようにします。マスキングテープで固定してもOKです。あまりキツく曲げると、もし部品を外す時に引っ掛かって外しにくくなります。
そして、基板もテープで動かないよう固定しましょう。
これが結構重要で、基板が動かなることで、はんだ付けが格段にしやすくなります。
あと、はんだごてや加熱された部品は200℃以上にもなりますので、木やシリコンマットなどの熱に強いものの上で作業するようにして下さい。
はんだ付けの流れとしては、
① 部品の足とランドに、こて先を同時に当てて加熱します。(3秒ぐらい)
② はんだを足に当てて溶かしていきます。(山の形になるぐらい)
③ 溶けたら、はんだを離し、そのまま2~3秒待ってから、こて先を離します。
写真のように、はんだが山の形になってツヤがあれば、きちんとはんだ付けできています。多少膨らんでいてもOKです。その後、ニッパーで足を切ります。
ひとつの部品のはんだが終わって、次の部品をはんだする直前に、こて先に付いた汚れたはんだをスポンジでぬぐってきれいにしましょう。
何度もぬぐうとこて先の温度が下がるのでササッとでOKです。
積層セラミックコンデンサを付ける
取り付け向きは決まっていません。基板のC1の穴に差し込んで、はんだ付けします。
ICソケットを付ける
取り付け向きの指定があります。凹みのある方を基板の図の凹みと一致させて差し込みます。まず、対角の2箇所をはんだ付けします。そして部品が基板から浮いていない事を確認してから、全部の足をはんだ付けします。足は切る必要はありません。
LEDを付ける
取り付け向きの指定があります。 足の長い方が「A」なので基板の「A」と合わせて差し込みましょう。写真では左側の穴が「A」です。
プッシュスイッチを付ける
長手と短手があります。写真の向きに差し込みましょう。基板にピッタリ付くまで差し込んで、はんだ付けして下さい。足は切る必要はありません。
ブザーを付ける
取り付け向きは決まっていません。部品がやや大きいので、はんだ付けに熱量が要ります。いつもより長めにこて先を当てましょう。
温度センサーを付ける
温度センサーだけは銅箔面に取り付けます。表裏の向きはありません。
写真のようにテープで留めて固定しましょう。
あとでセンサーの根元を曲げるので、はんだ付けしない部分を2~3mm残しましょう。
こんなふうになればOKです。
コイン電池ホルダーを付ける
向きを基板のマークに合わせて下さい。部品がやや大きいので、はんだ付けに熱量が要ります。いつもより長めにこて先を当てましょう。
ICをソケットに付ける
取り付け向きの指定があります。凹みのある方をソケットの凹みと一致させて差し込みます。足が広がっていて差し込めない場合、足を少し内側に曲げて直角に近づけてから差し込みます。
温度センサーを折り曲げる
はんだ付け部分の根元で直角に曲げましょう。
アクリル板に基板を取り付ける
上から見て、基板のセンサーとアクリル板の穴の位置が合うようにします。
センサーをアクリル板の穴に通し、基板をネジで固定します。この時スペーサー(白いパイプ)をはさみます。アクリル板にネジ溝を切りながらネジを締めますので、少し力が要ります。
締め終わったらセンサーを曲げて、完成です!
部品が余っていないか確認する
部品を全部取り付けたら、基板上に部品の無い箇所が無いか、余った部品が無いか確認します。基板上に、CN1以外の部品が全部ついていれば完成と言えます。
動作の確認と修正
コイン電池を入れてみましょう。ピピピとブザーが鳴り、LEDが3回点滅すれば、ひとまず成功です。続けて動作確認して下さい。
動作しない場合は電池を外し、原因をしらべましょう。
まず部品の取り付け位置や向きが間違っていないか確認します。抵抗の位置や、ICの向きは合っていますか?
それらが問題ない場合は、すべてのはんだ部分にもう一度はんだごてを数秒間当ててみましょう。はんだがうまく馴染んでない場合があるからです。
はんだのツヤがなく、ザラザラ、トゲトゲしている場合は、加熱のし過ぎではんだが劣化した状態です。この場合、はんだ吸い取り機や吸い取り線で一度はんだを除去し、再度はんだ付けしましょう。
修正後、再度動作を確認して、それでも動かない場合は、はんだ時の加熱のしすぎによって部品や銅箔が傷んでしまった可能性があります。
こうなると、かなり電気の知識が無いと解決は難しいので、詳しい方に見てもらうか、新しく買い直し再チャレンジするか、メーカーに修理を依頼して下さい。
使ってみましょう
お湯を注いだカップ麺の上に置きます。しばらくして、ピピピッと鳴ってタイマーがスタートするはずです。そしてLEDが3回点滅を繰り返します。3分たつとチャルメラのメロディーとブザー音がなります。
タイマー時間は初期設定では3分に設定されていますが、タイマーのスタート後にスイッチを押すことで変更もできます。1回押すと4分、2回押すと5分、3回押すと2分になります。スイッチを長押しすると途中で止めることができます。